皆さんこんばんは。
今日は象牙撥の先の薄め方について書きます。
ちょと専門的になるかもしれません。
家では象牙撥の先の薄めを撥の先付けと呼んでいます。
まずは新しい撥と先付けした撥を比べてみます。
以上のように先の方を全体的に半分以下にしますかね。
象牙は硬いので大変です。
ヤスリやノミ、カンナ等で削って行くのですが、刃がすぐに切れなくなります。
先の薄めと言うと先だけ削るような印象があるかもしれませんが、どちらかと言うと、
削って撥のしなりをどれだけ出すかの方が重要です。
撥先を我々は先から番号(一番、二番、三番等)で大体の場所を言うのですが、その場所が以下の画像です。
矢印の先ではなくその辺り一体と言う事です。
これも家の番号(場所)の呼び方なので他のお店は場所が違っているかもしれません。
我々には学校がないので、自分で勉強するので、お店によって個性が出ます。
薄めると言うと一番を薄めると思うかもしれませんが、一番はすぐに薄くなるので、最初のうちはあまり、手を入れません。二番三番を削ってしなりを出すので、こちらから薄めていきますが、この按配がとても難しい!
撥は最後はピカピカに仕上げるのですが、この最終形でそのお客さんの求めるしなり具合を出さなければいけません。
それぞれ削る段階、磨く段階でどれ位しなりが出てくるかを計算しながら作業を進めなければいけません。
これには熟練がいります。
薄くなってしまったらもうアウトです。
10万以上する象牙撥が使えなくなります。最悪弁償しなければいけません。(怖)
しなりの出し方も三味線のジャンルで違いますし(例えば長唄と民謡では全然違います。)
家は長唄の撥を良く仕上げるのですが、流派によっても違います。
厳密にいうと、一人一人違います。
よく撥の先付けを師匠と同じにしてくれと言う方がいますが、あまりお勧めしません。
人によって弾く力弾き方が違いますので自分に合った撥はあまり他の方の撥は参考になりません。
でも我々は参考にはなりますので、気に入っている撥を見せてもらったり、師匠を聞いたりして、その方に合う撥先の付け方を探っていきます。
撥は演奏家の方によっては三味線より音に関係すると言う方もいらっしゃるので、本当に慎重な作業になります。
亀ちゃんより
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