三味線コラム -No.163 象牙の糸巻きすげ。(三味線亀ちゃん)

みなさんこんばんは。三味線亀ちゃんです。

今日は象牙の糸巻き”すげ”をしました。
ミニ知識ですが、糸巻きは”すげる”と言います。
漢字で書くと”挿げる”と書きます。
辞書を引くと”差し込む。また、そのようにしてとりつける。”と書いてあります。
糸巻きを三味線に差し込んで取り付けるとは適切表現ですね。

糸巻きは主にヤスリで”すげ”ていきます。
写真にあるように色々なヤスリを使います。

この三味線は新しくお客様に収める長唄の三味線です。
象牙の糸巻きを合わせるのは本当に難しく、黒檀の糸巻きの比べると何倍も時間がかかります。

長唄は調子が曲中に何回も変わる曲もありますので、糸巻きがよく合っていないと、お客様から、怒られてしまいます。

象牙の糸巻きは硬いので、削るのに大変ですし、きちっと合わせないと黒檀のように、多少合わせが甘くても、糸巻きが止まるということがありません。

下のの糸巻きがすげ途中の象牙の糸巻きですが、黒い筋が、均等ではありませんね。
上の糸巻きは黒い筋が綺麗に均等についています。

最終的に上のように仕上げたいのですが、うまくやらないとなかなかうまくいきません。
時間をかけてやらないとなかなかそうはならないのです。

基本的には先と元の天神金物に均等に当てるのですが、一の糸巻きと三の糸巻きは斜めに入っているので、一概に均等とは言えません。

先と元の当たる強さの配分が必要です。

天神金物も重要で、今回は18金金物を使っていますが、

この金物作りによって、糸巻きの止まりも変わってきます。

古い三味線によくあるのですが、いくら糸巻きを合わせてもうまく止まらない場合があります。

これは金物が悪い場合が多く、その場合金物を一度とって、取り替えることもあります。
むやみに糸巻きを削ると、糸巻きが短くなってしまいますから。

糸巻きの質が悪い場合もあります。何度も直しても糸巻きの止まりが悪い場合糸巻きと金物どちらが悪いのかという判断が重要になります。
これは経験しかないですね。少し糸巻きを触ってみて、舞台前などはすぐに判断しなければいけません。

象牙の糸巻きの直す時は当店は少し慎重にお客様と話します。
少し直すのに時間がかかると申し上げる時もあります。

以上のことをご理解頂だけますとありがたいです。

今回はうまく”すげる”ことができました。

三味線亀ちゃん
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