こんにちは。亀屋邦楽器の亀ちゃんです。
さて第2回目の亀ちゃんのコラムですが、私が最近思った事を書きます。
表題を見て頂いたと思いますが、ずいぶん大胆な事を書きました。
何を言っているんだ!と思う方もいると思います。
まあ私は三味線屋ですから、その視点から思ったんですね。
きっかけはテレビを見ていました。
するとある女優さんが、出演の映画について、インタビュアーさんから色々インタビューを受けていました。
その中でインタビュアーさんが『今回はすごくいい映画が出来ましたね!」と盛んに褒めていますが、その女優さんはあまり嬉しそうではない。
それでもインタビュアーさんは素晴らしいと褒めるわけです。
そうしましたらその女優さんは
「それは監督さんや脚本家さんのおかげです、私は指示されたとうりに演じただけです。役者は受け身ですから。」とおっしゃいました。
その時私は、『役者さんと三味線屋は似てる!』と思いました。
なぜかと申しますと三味線屋も一緒で、演奏家がいて三味線屋がある。
演奏家がこういう音を出したいと言う時に三味線屋は色々考え、技術を駆使して、演奏家が求める三味線の音を出す。
もちろん自分なりに好きな三味線の音はあります。
しかしその音を出しても演奏家が満足するとは限らない。
ですので我々は演奏家のご要望を良く聞き、時にはその方の演奏会に出向いて音を聞きます。
そしてなるべくその演奏家の求めている音に合わせていきます。受け身の立場です。
きっといい役者さんはいろいろな演じるための技術をきっと持っていると思うんですよ。
もちろん自分の好きな役と言うのは必ずあると思うのですけど、その役が来るのかは分からない。
ですので監督さんや配給会社から望まれる役を自分の持っている演じる技術で演じきる、この部分がとても三味線屋と似ていると私は思ったわけです。
我々が日々三味線を作る技術を磨いたり、いい附属品を揃えるのは 演奏家からの色々な音に対する要望に答えるための手段をバラエティーにするためだなとその時の女優さんのお話で改めて気づきました。
そうしないととてもプ ロの演奏家のご要望には答えられないと思います。
演奏家の要望は時代とともに変わりますので、我々のご要望に答える努力も終わらないわけです。
ですので三味線屋は一生修行と言う事になります。
以上私が最近感じた事でした。