三味線コラム-No.218 撥の話をします。(三味線亀ちゃん)

皆さんこんばんは。三味線亀ちゃんです。
”暑さ寒さも彼岸まで”とはよく言ったもので
東京は朝晩が随分涼しくなりましたし
昼間も湿度が低いので三味線にもいい季節になってきました。
湿度が低くなってきますと音も冴えてきます。
三味線を弾く絶好の季節です。

さて今日は撥の話をしようと思ってます。
撥はですね我々楽器屋にとってすごく難しいお道具だと思ってます。

撥は演奏者にとって手と同じですのでとても細かく要求があり
それに応えるには長年の経験がないと難しいと思います。

そもそも三味線の撥はおやりになっているジャンルによって
大きさも撥の厚さも千差万別です。

一番小さな津軽の撥と地唄の津山撥を比べてみますと、

これだけ違います。
津軽は早弾きしますので撥は小さくないと弾けません。
地唄の曲はゆっくりとしなやかに弾きますので大きい方が、
地唄らしい音が出ます。
でも地唄の方はこの大きな撥で結構早く弾きますので
感心します。

撥の厚みも義太夫の撥なんかはとても厚いです。

この撥で皮を叩くのですから皮もへばってしまいます。
義太夫のプロの方は張り替えを頻繁にすると聞いています。

木撥だけでも以下の数を当店では扱っています。

研精会から30匁までは長唄の方、30匁から50匁は中棹を使う方。
(常磐津・清元・民謡・端唄など)でしょうか。

三味線は我々の民族楽器なので地域差が大きいのであまり一概には言えないのですが、
当店の場合で書いてます。

木撥やプラスチックの撥はこのまま使っていただいていますが、
べっ甲撥や象牙撥は弾く方の好みに合わせて撥の形や撥先の厚さを演奏者に希望に合わせて細かく修正します。

この修正の仕方が人によって細かく違いますので、
我々職人の腕の見せ所であり深い経験が必要です。

この後は次回に書きますね。

三味線亀ちゃん
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